酒器 扁壷(へんこ)黒
酒器・扁壷(へんこ)は、「かたよったつぼ」、「へんぺいなつぼ」という意味です。
簡単に言うと、壷を両側からぎゅっと押さえてぺたんこにした形、です。
古来、大陸では好んで作られたデザインで、
このような形の陶器や磁器の名作も残されています。
輪島塗を、和室、洋室を問わず飾って欲しい、と思い作りました。
もちろん、飾るだけではありません。
実際に酒や水などの液体を入れて、ご使用いただける作りになっています。
ご自分のお好きなお酒を入れて、お店に預けるという楽しみ方もいいですね。
酒器・扁壷(へんこ)は、大雅堂オリジナルの酒器、もちろん実用品です。
この酒器・扁壺について、まずは壺の形からご説明いたします。
扁壷(へんこ)の特殊な形は、もちろん天然木でできています。
輪島では、製作の工程は分業制になっていて、それぞれの分野・手順の専門職人の手によって
工程ごとに仕上げられています。
輪島塗のもとになる「木地」の製作も、器物の形状・特色により、それぞれ
「椀木地」「朴木地」「曲物木地」「指物木地」と、専門職により製作されています。
この扁壺は、複雑な形のために、また、実用に耐える塗を施すために、形状にあった専門職により、部分的に別々に製作するという、凝ったつくりになっています。
○黒塗りの扁壷に沈金を施した模様違いの扁壷・ブドウにりす沈金はこちらでご紹介しています。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役