乾漆香合 なす 55,000円(税込)
かわいいなすの香合の大きさは
茄子の長さ 6cm 幅約4cm 高さ約4cm へたの長さ約3.5cm
乾漆(かんしつ・脱乾漆技法のこと)とは
この茄子の香合は、脱乾漆(だつかんしつ)という技法で作られています。
この脱乾漆は、鎌倉時代の仏像制作によく用いられた技法。大変 軽く薄く仕上がります。
はじめに、石膏などであるていどの型を作り、その型に漆をひたした布を貼りかさねていく。ある程度の厚みになったら、二つに切り、中の石膏を抜き出す。
そして、もう一度型の通りに張り合わせてから、漆をひたした布を再度張り重ねて行く。
漆をつけながら、形を整えていき、何度か漆塗りをして形状を仕上げていく。
形ができあがったら、上塗りを施す。
脱乾漆は、形は自由に作ることが出来ますが、表面が入り組んでいたりでこぼこしていたりするので、研ぐことが大変難しく、蒔絵も描きづらいのが難しいところです。
簡単にいうと、木地を使わず漆の塗面だけを使って作った香合、なのです。
この茄子香合は、乾漆で形を作った後、上塗りを溜塗(ためぬり)にて仕上げています。
溜塗(ためぬり)は、黒や朱塗りより、1回多く手間がかかります。
はじめに朱漆を塗り、次に朱合漆(しゅあいうるし)というべっこう色の漆を塗っているからです。
その雰囲気は、戦前の天皇陛下の御車が溜塗であったように、高貴で落ち着いていて華麗です。
溜塗とは
中塗りに朱漆を塗り、上塗りに朱合い漆という半透明の漆をぬる技法。
漆は時間が経つにつれて透明度が増してくる、という特性を生かし、中塗りの朱が漆が薄くのるふちのほうから透けて、落ち着いた中にも華やかさのある、雰囲気をかもします。
この溜塗の特性を利用して、茄子のへたの下あたりを、朱がすけるように仕上げています。
本物のなす、に似せてあります。茄子っぽいです。
どれもひとつづつ手作りです。
同じようでも、ちょっと違っています。
どの茄子にも、個性があります。
ふっくらした形が、笑みを誘います。
なすの内側は、黒塗りです。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役