輪島塗の乾漆の座卓に油のしみがついてとれません。どうすればいいの?
Q.乾漆の座卓を食事に使っています。油ものを落としてしまったのか、油のしみがついて、とれません。油汚れの手入れは、どうすればいいのでしょうか。
A.乾漆の表面は、ざらざらしていますが、これは表面に蒔きつけた漆の粉が凸凹しているためで、その凸凹に油汚れが入って残っている状態だと思われます。
こんな時は、工業用アルコールやベンジンなどを柔らかい布につけて、油汚れの部分を良く拭いて下さい。
工業用アルコールやベンジンが無い場合は、消毒用のアルコール(外から帰ったら、手を消毒する・病院の入り口で手を消毒する、あのアルコールです)を使ってください。
そのあと、濡らして良くしぼったタオルや布などで、仕上げ拭きをしてください。
アルコールなどで拭いた時、少し白っぽく拭いた部分のまわりにあとが残ることがありますが、濡らしたタオルなどで良く拭き取れば、あとはきれいになくなります。
◎タオルで拭いた時に、茶色っぽく色が落ちる場合は
この場合は、座卓の表面の漆が劣化しています。そうなると、輪島の塗師屋での修理が必要です。修理のご案内はこちらです。
※乾漆(かんしつ)とは
乾漆とは、漆を乾かして粉にし、漆の塗り面に満遍なく蒔いて上から漆を塗り固着させて、 研ぎ出す技法のことです。傷がつきにくく、使いやすい、輪島塗の仕上げの技法のひとつです。
塗面は、少しざらざらした感じに仕上がり、 輪島塗の、鏡面のような呂色仕上げとはひと味違った、 落ち着いた漆の風合いを感じさせます。
若島基京雄(わかしまきみお)
全国を行商して歩いた祖父・父は、旅先で大変可愛がって頂き、現在でも祖父・父を知るお得意さまが多数ございます。
祖父・父は、「物がなくても売る」達人 営業マンでした。
お客様の前で輪島塗の器の仕上がりのイメージを、すらすらと絵に描いて見せ、仕上がった見本が無くても注文を取りました。器の形や色、蒔 絵・沈金の模様まで、その場で細かくうち合わせができ、仕上がった品は、大変お喜び頂いたそうです。
私もそうなりたいと、自己流ながら勉強し、輪島の技法の全てを頭にたたき込み、
お客様の求める物のイメージを形にしたい、と思っています。
現在は、器物の 形から、蒔絵・沈金の図案までお客様のご要望に合わせ、
自分で作図して制作にあたります。
頭の中で見える仕上がりの姿を、木地師から蒔絵・沈金師に細かく 指定し、
喜ばれる、そして末永く愛して頂ける輪島塗を生み出していきたいと考えております。
輪島漆器商工業協同組合 組合員
石川県輪島漆芸美術館 友の会 事務局長
合気道 奥能登合氣会 会長
輪島漆器大雅堂株式会社 代表取締役