作家さんの話

今回は、沈金とか蒔絵を施してくれる作家さんの話をします。

お客様から特別注文をしていただくと、器物の形や寸法、色、塗の仕上げ方法、そして、模様について図案を描いてその技法に近いものをいくつも用意したり、色見本板を用意したり、画像を用意したりして提案いたします。それらを何度かお客様と打ち合わせをして、製作開始となります。

模様の図案は作家さんにお願いすることになりますが、素晴らしい日展の先生に図案を描いてもらった時のことです。

先生から図案ができたよと連絡が入り、急いで先生のお宅へ行きました。

「こんな感じになるわ」(この言い回しは輪島では男性もよく使います。)とおっしゃって図案を私の目の前で広げてくれました。

鉛筆で描かれたもので何度か描き直した跡がありました。ま、それはよしとして、図案を見てビックリです。ひえー!なんと下手なことか!これをお客様に見せたら決まる注文も決まらなくなると思ってしまいました。しまいましたとは、これは終わった、、、という私の心の叫びだったからです。しかし、氣を取り直して、これはいい感じになりますねと言って先生のお宅を後にしました。先生の名誉のためにお話しておきますが、この図案から似ても似つかない素晴らしい仕上がりの塗り物が出来上がるのです。

さあ、大変だ!会社に帰って図鑑や過去の図案を引っ張り出してきて自分で描きはじめました。先生の描いた図案をもとに四苦八苦。この時はじめて図案を描くのがいかに大変かということを思い知らされたのです。図案を依頼するときは、必ず発注につなげないといけないと強く思った次第です。

そのころから、私は、自分でも図案を描いてみることにしていきました。お客様からお話を聞いてそれを図案にして作家さんの所へ持っていくようにしました。作家さんも図案があると助かるようです。図案で半分は完成したようなものだからです。また、製作そのものに専念できるということもあります。私も、何度もお客様と作家さんの間を行ったり来たりするのは大変疲れるので自分で描いて一発で決めるのです。話を聞いた本人が描くのですから間違いありません。(言い過ぎました。多少やりとりはあります。)

今にして思えば、今の私の製作スタイルが決まったのは20年程前のこの頃からです。作家先生ありがとうございます!

 

 


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